WS8-4Back
1細胞解析から解明: 毛包発生と幹細胞誘導を支える「テレスコープモデル」
*森田梨津子
理研BDR・細胞外環境研究チーム

毛包幹細胞は成体毛包の恒常性維持と再生を担う中心的存在である。毛包は一生涯再生を繰り返すという特徴から早期に幹細胞の存在が特定され、幹細胞生物学の発展を牽引してきた先駆的なモデル器官であるが、これまで毛包幹細胞の発生起源や誘導過程については十分に解析されていなかった。私達は、1細胞解像度の長期3Dライブイメージングと単一細胞トランスクリプトミクスを組み合わせた、独自のデータ駆動型の解析手法を用いて、マウス毛包上皮組織全体の発生過程における細胞系譜と遺伝子発現の変化を網羅的に捉えた。その結果、定説とは異なる毛包幹細胞の発生起源を同定するとともに、毛包プラコード上に配置した異なる遺伝子発現パターンと細胞運命をもつ同心円細胞プレパターンが陥入・伸長することで、三次元的な筒状の毛包構造が作られる毛包の新しい発生様式「テレスコープモデル」を見出した。「テレスコープモデル」は、器官内のコンパートメント形成と幹細胞誘導を同時に可能とする普遍的な器官発生モデルとなる可能性を有する。本発表では、これまでの研究成果と今後の展望をご紹介したい。
keywords: 毛包幹細胞; 1細胞トランスクリプトーム; ライブイメージング

“Telescope model” for coordinated organ morphogenesis and stem cell formation
*Ritsuko Morita
Lab. for Tissue Microenvironment , RIKEN BDR