WS1-3Back
遺跡出土動物骨から家畜化過程を探る
*本郷一美
総研大・先導科学

家畜偶蹄類の起源は西アジアの「肥沃な三日月弧」北〜東部地域にある。先土器新石器時代B期(PPNB)前期(紀元前8500年頃)に、家畜化の過程が進んだとみられる。1970年代から西アジアの遺跡調査で出土動物骨の研究が盛んになり、これまでに西アジアの新石器時代の人類が利用した動物の種、サイズ、死亡年齢、骨の廃棄パターンなどの膨大なデータが蓄積された。これにより家畜偶蹄類の野生祖先種の分布、家畜化の時期と起源地が解明された。近年の古DNA分析の進展は、起源地から周辺への家畜の導入、毛やミルクの利用を目的とした品種改良、野生祖先種と家畜の交雑、など、牧畜の発達に伴う複雑な過程を明らかにするために貢献している。
keywords: 新石器時代;家畜化;遺跡出土骨

Zooarchaeological investigation of the process of animal domestication
Hitomi Hongo
Graduate University for Advanced Studies